
退職届と退職願、どっちを出せばいいの?



退職願は先に出すって本当?



タイミングを間違えると迷惑になる?
退職を考え始めると、意外と悩むのが“書類の扱い”です。
ネット上ではよく「退職願=相談、退職届=最終決定」といった情報が出ていますが、実際には企業文化によって扱いが異なるケースもあり、明確に理解しておかないとトラブルに発展することがあります。
しかし安心してください。法律的には、退職届・退職願のどちらを出すかであなたの権利が変わることはありません。重要なのは 「どういう順番で出すか」「どのように書くか」「不利にならない伝え方をするか」 の3点です。
この記事では、退職をスムーズに進めるために知っておくべき退職届と退職願の正しい違い・書き方・タイミング・注意点を初心者でも迷わないように順序立てて解説します。
読むだけで、不安がクリアになり“会社を辞める”という行動が一気に現実的に動き出せます。
第1章|退職届と退職願の違いとは
まず最初に「退職届と退職願はどう違うのか?」ここを正しく理解しておくことで、提出タイミングや会社とのやり取りで迷うことがなくなります。
退職願は「退職したい意思を相談する書類」
退職願は「退職したい」という申し出を“相談ベース”で伝える文書です。
- 会社の了承を前提にしている
- 人事・上司が状況を確認してから処理が進む
- 会社側と日程調整が入りやすい
つまり、退職願は “打診のための書類” という位置付けです。
ただし、最近は退職願を提出せず、「口頭で意思を伝える → 日程調整 → 退職届の提出」という流れの会社も増えています。
退職届は「退職を確定させる最終書類」
退職届は 「退職することを決定しました」 という最終通知です。
- 会社が拒否できない
- 日付が確定すれば退職成立
- 撤回が難しい
つまり、退職届は “確定通知の書類” です。
注意点として、退職届を出した瞬間から会社は業務の引き継ぎを前提に動くので、その後の変更は基本的にできません。
法律上は「退職届・退職願どちらでも退職は可能」
民法では退職の意思表示(口頭含む)から2週間で退職できると規定されています。
つまり……退職願を出すか退職届を出すかで、法律上の扱いは変わりません。
しかし企業文化としては「願→届」の流れが一般的なので、会社との摩擦を少なくするためには、会社のルールに沿うほうが安全です。
フローで見る違い
- 退職したい(検討中) → 退職“願”
- 退職することを決めた → 退職“届”
この理解でOK。迷った時はこのシンプルな区分で判断すると間違いません。
第2章|退職願の書き方と提出の流れ
ここからは実際の作り方と正しい提出の流れを解説します。退職願は“社内調整”が入る書類なので、角が立たない形式が大切です。
退職願の基本フォーマット(シンプル版)
退職願は以下の4つで構成されます。
- タイトル(退職願)
- 本文(退職したい旨)
- 日付
- 署名
退職願
私事、誠に勝手ながら、一身上の都合により
令和○年○月○日をもちまして退職いたしたく、
ここにお願い申し上げます。
令和○年○月○日
所属:〇〇部
氏名:〇〇〇〇
- 感情的な理由は書かない
- 「一身上の都合」で完全に足りる
- 退職理由は詳細記載不要
これが最もトラブルが少ない形式です。
退職願を提出するベストタイミング
退職願を出すのは 退職日の1〜2ヶ月前 が適切です。
- 会社側がシフト調整しやすい
- 引き継ぎがスムーズ
- 人事が動く時間がある
ただし、職場環境が悪い場合やハラスメントがある場合は前倒しでOK です。
注意点:退職願には「撤回できる場合がある」
退職願は“願い”なので、会社側と合意が取れれば撤回できます。しかし、退職届を出す段階に入ると撤回はほぼ不可能。
慎重に進めたい人は、まず退職願 → 調整 → 最終的に退職届という流れが安全です。
退職届の書き方と提出の流れ
次は退職を“確定させる”ための最終書類、退職届について解説します。
退職届の基本フォーマット
退職届は形式に厳しい会社もあるので、もっとも無難で広く通用するフォーマット を示します。
退職届
私事、この度一身上の都合により、
令和○年○月○日をもちまして退職いたします。
令和○年○月○日
所属:〇〇部
氏名:〇〇〇〇
会社名:株式会社〇〇〇〇
代表取締役 〇〇〇〇 様
ポイントは以下になります。
- タイトルは必ず「退職届」
- 退職日は明確に記載
- 提出日も記載
- 代表取締役宛てが基本
退職届を出すタイミングは「会社と最終合意ができた後」
退職届は “退職が確定した後に出す” 書類です。つまり、
- 退職日が決定した
- 引き継ぎの概要が固まった
- 会社側との合意が取れた
この段階で提出するのが正解。
焦って出すと、後から「日程の再調整が必要」という時に面倒になります。
注意点:退職届は一度出すと原則撤回不可
退職届は「通知」なので、提出後の撤回は基本的にできません。
これは大きな特徴です。
- 感情的になった日
- 上司とトラブルになった日
- 相談前の段階
こういった状態で提出するのは絶対にNG。会社側もこの書類をベースに動くため、事務処理・人事手続きが一気に進みます。
第4章|退職願・退職届を書く際の注意点
書類はシンプルですが、意外とトラブルにつながる“注意ポイント”があります。ここでは提出前に必ずチェックすべき要点を整理します。
理由は「一身上の都合」以外を書かない
- ハラスメント
- 給与の不満
- 人間関係
- 精神的な限界
こうした本音は書類に書くべきではありません。書類は正式文書なので、情報として残るものは極力減らすのが安全です。
上司の態度が悪くても冷静に渡す
怒鳴るタイプの上司や感情的な管理職でも、書類提出は淡々と行うのがベスト。
「こちら、提出書類になります。ご確認お願いします。」
それ以上の会話は不要。書類提出は“事実の通知”なので、感情を混ぜる必要はありません。
封筒は白無地・縦長を使う
- 白色
- 無地
- 和封筒(縦)
これが基本。ボールペンは黒一択。署名は手書きが望ましいですが、会社によってはPC作成でも可能です。
コピーを1部保管する
退職届は会社が紛失するケースがまれにあります。
- コピーか写真で保存
- 提出日をメモ
- メール提出なら送信ログを保存
これは“自分の身を守る”ために必須です。
第5章|退職願・退職届に関するよくある誤解
ネット情報でよく見かける誤解を整理します。間違った知識はトラブルの原因になるため、ここで明確にしておきましょう。
- 退職届を出さないと辞められない?
-
辞められます。法律では口頭退職も有効です。
- 退職願を出したら退職が確定する?
-
確定ではありません。会社と合意して初めて退職日が固まります。
- 退職届は会社が拒否できる?
-
拒否できません。退職の意思表示は“通知”なので、受理されなくても効力を持ちます。
- 退職願を書かないと非常識になる?
-
会社によります。最近は「言う→日程調整→届」の流れが主流。
第6章|※どうしても提出が難しい場合の選択肢(心理的負担が大きい人向け)
最後に、会社に提出するのがどうしても怖い、上司が激しいタイプで会話ができない……そんな人向けの“現実的な選択肢”を整理します。
メール提出でも効力はある
法律上、退職の意思は「言葉で伝われば成立」なので、メール提出でも問題ありません。
「退職届(退職願)をPDFにてお送りします。」
実際、体調を崩している人はメールで十分でしょう。
郵送でもOK(会いたくない人向け)
感情的な上司がいる場合は、郵送が安全です。
- 簡易書留
- 特定記録郵便
これなら、提出の証拠が残る。
第三者による連絡も選択肢(精神的に限界の人向け)
どうしても声が出ない、上司に会えない、何を言われるか怖くて眠れない——
こういう状態の人は、退職の意志を“自分以外が伝える方法” を使うのも現実的。
心理的負担が限界の人ほど、第三者を間に入れることで心が守られます。
まとめ|退職願・退職届は順番と形式だけ押さえれば怖くない
退職願は「退職したい」退職届は「退職する」
この違いさえ押さえておけば問題ありません。そして本当に大事なのは、書類よりも、あなたの心と身体を守ること。
- まず退職願
- 調整後に退職届
- 無理ならメールや郵送
- 限界なら第三者に任せる
会社よりも、書類よりも、あなたの人生のほうがずっと大切です。
迷った時は、この記事に戻ってきてください。きっと必要な答えがわかります。


コメント