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うつ病になったら仕事はどうするべきか|休職・退職・続ける判断基準と現実的な選択肢

うつ病と診断されたとき、多くの方が最初に直面するのが「仕事をどうすべきか」という問題です。

このまま働き続けられるのか、休職した方が良いのか、それとも退職した方がよいのか…。インターネット上にはさまざまな意見が溢れており、調べるほど混乱してしまう方も少なくありません。

働き続けるべきか、それとも一度立ち止まったほうがよいのか、あるいは辞める決断をしたほうがいいのか。そうしたことで頭がいっぱいになり、答えを探し続けている方ほど、実は心と体が限界を迎えかけているケースも珍しくありません。

本記事ではうつ病になったときに仕事をどうするべきかについて、現実的な判断基準と選択肢を整理しながら、休職・退職・仕事継続それぞれの考え方を具体的に解説いたします。

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目次

① うつ病になったとき、まず最優先すべきこと

「うつ病になったら仕事をどうするべきか」と考えるとき、多くの方は仕事のことばかりに意識が向いてしまいます。しかし、結論から申し上げると、うつ病になった場合に最優先すべきことは 仕事ではなく、自分の心と体の回復 です。

ここを見誤ると、その後の選択がすべて苦しくなってしまいます。

関連記事:職場のセクハラとは何か|発言・行為の具体例とどこからアウトかの境界、相談までの完全ガイド

うつ病は「頑張れば何とかなる状態」ではない

うつ病は、気持ちの問題ではなく「脳と心の疾患」です。よくある誤解として、

  • 気合で乗り切れる
  • しばらくしたら自然に治る
  • 甘えのようなもの
  • もっと頑張れば大丈夫

こうした考え方がありますが、これはすべて危険な誤解です。うつ病の状態で無理に働き続けると、症状はほぼ確実に悪化し、

  • 不安障害の併発
  • パニック症状
  • 慢性化
  • 最悪の場合、自傷や希死念慮

といったリスクが高まります。

つまり、「仕事を続けるかどうか」を考える前に、今の自分が働ける状態かどうかを正しく見極めること が最優先になります。

「仕事があるから休めない」は危険な思考

多くの方が口にするのが、

迷惑をかけるから

責任があるから

今やめたら終わりだから

という言葉です。ですが、冷静に考えてみてください。あなたの体調が壊れてしまったあと、その責任を誰かが取ってくれるでしょうか。実際には、会社はあなたの人生の責任までは取ってくれません。

だからこそ、仕事よりも回復を優先する。無理を続けない。この視点を 最初に持つことが極めて重要 になります。

まずは医療機関での診断と治療を優先する

すでに診断を受けている方も、まだの方も、うつ症状がある場合は必ず医師の診断を受けることが重要です。なぜなら、

  • 休職手続きに診断書が必要になる
  • 傷病手当金などの制度に関係する
  • 働けるかどうかの判断を客観的に見てもらえる

といった理由があるからです。

自己判断で「もう無理だから辞めます」と決断してしまう前に、医師の意見を挟んでから判断すること は、後悔を減らす意味でも非常に有効です。

誰かに相談するという行動も大切

うつ病になると、

自分のことを人に話すのが申し訳ない

これ以上迷惑をかけたくない

と考えてしまいがちですが、それは症状のひとつでもあります。

家族、信頼できる友人、あるいは医療機関でも構いません。少なくとも一人で抱え込まないことが、回復への第一歩です。

たとえ仕事の話であっても、いきなり会社と向き合うより先に、「自分の味方になってくれる人」と話す時間を作ることは大きな意味を持ちます。

② 仕事を続ける・休職する・退職する|3つの選択肢の整理

うつ病と診断されたとき、ほとんどの方が最初に迷うのは「このまま仕事を続けてよいのか、それとも一度離れるべきなのか」という部分です。

どの選択にもメリットとリスクがあり、誰にとっても共通する「絶対の正解」は存在しません。だからこそ大切なのは、それぞれの選択肢の特徴を冷静に知ったうえで、今の自分にとって現実的な道を見極めること です。

ここでは、「続ける」「休職する」「退職する」という3つの道について、それぞれの考え方を整理していきます。

関連記事:会社をすぐ辞めたいときの現実的な方法|限界の手前で知っておきたい選択肢

仕事を続けるという選択について

うつ病になっても、症状が比較的軽い場合や、環境を少し調整することで対応できる場合には、仕事を続けるという選択を取る方もいます。たとえば、

  • 業務量を減らしてもらえる
  • 在宅勤務など柔軟な働き方が可能
  • 職場の理解がある
  • 治療と両立できる環境が整っている

こうした条件が揃っている場合は、無理のない範囲で仕事を続けることも一つの道になり得ます。

ただし重要なのは、「我慢しながら続ける」のではなく、「環境を調整しながら続ける」という前提に立つことです。

症状があるのに、これまでと同じ負荷の働き方を続けてしまうと、一時的に持ちこたえられても、後から大きく崩れてしまうケースも少なくありません。

続けるという選択をする場合は、必ず医師と相談しながら慎重に判断する必要があります。

休職という選択について

うつ病と仕事の間で悩んでいる方にとって、もっとも現実的で中間的な選択肢となるのが「休職」です。休職は、

  • 仕事を一時的に離れて治療に専念できる
  • 退職ほど大きな決断ではない
  • 復職という道も残せる

という意味で、心理的な負担を少し和らげてくれる制度でもあります。

また、医師の診断書があれば、会社の制度や健康保険を通じて、休職中に一定の収入を確保できるケースもあります。

ただし、休職にも注意点はあります。たとえば、

  • 休職期間に期限がある
  • 復職のプレッシャーを感じやすい
  • 職場の理解に差が出る

といった部分です。

休職を選ぶ際は、「今は逃げるわけではなく、回復のための時間を取る」という意識でとらえることが重要です。

そう考えられれば、休職は前向きな選択肢になり得ます。

退職という選択について

一方で、うつ病の原因が「職場環境そのもの」にある場合や、復職を目指すこと自体が大きなストレスになる場合には、退職という選択が現実的になることもあります。

辞めたら負けなのではないか

社会人として失格なのではないか

こうした不安を抱える方も多いですが、これもまたうつ特有の思考に引きずられている可能性があります。

働く場所を変えることと、人生を投げ出すことは、まったくの別物です。

職場が原因で心が壊れかけている場合は、環境から距離を取ること自体が治療の一部になることもあります。

退職は敗北ではなく、環境を変えることで自分を守るための行動 と考えることもできるのです。

大切なのは「今の自分」に合った選択

この3つの道の中でどれを選ぶのが正しいかというよりも大事なのは、「今の自分の状態に無理がないか」「この選択をしたときに、少しでも呼吸が楽になるか」こうした視点で考えることです。

他人と比べる必要はありません。過去の自分と比べる必要もありません。

今この瞬間のあなたの状態を基準に、「これ以上悪化させない選択」をすることが何よりも大切です。

③ うつ病で仕事を続ける場合のリスクと限界

うつ病と診断されても、「できれば仕事を続けたい」と考える方は少なくありません。生活のこと、周囲への迷惑、キャリアへの不安などを思えば、そう考えるのはごく自然なことです。

しかし、ここで冷静に知っておくべきなのは、うつ病の状態で仕事を続けることには、現実的なリスクと限界がある という点です。この章では、その部分整理していきます。

一時的に持ちこたえても、あとから大きく崩れることがある

うつ病の初期や軽度の状態では、「なんとか出社はできている」「仕事も最低限はこなせている」ということも珍しくありません。

ただし、これは本当に回復している状態とは別物です。無理をしながら働いている場合、

  • 出社できる日とできない日の波が激しくなる
  • 仕事中のミスが増える
  • 人との会話が極端にしんどくなる
  • 帰宅後に強い疲労感が残る

といった変化が徐々に現れてきます。

そして多くのケースでは、ある日突然、まったく動けなくなる…という形で、一気に崩れてしまうことがあります。

これは決して珍しいことではなく、うつ病の経過として非常によく見られるパターンです。

「まだ動けているから大丈夫」と自分に言い聞かせすぎることは、結果的に回復を遠ざけてしまう場合があります。

職場環境が原因の場合は特に注意が必要

もし、うつ病の原因が仕事内容や人間関係、職場の雰囲気などに大きく関係している場合、その環境に居続けること自体がストレスになってしまうことがあります。例えば、

  • 上司の言動に強い恐怖を感じる
  • 職場に行くだけで動悸がする
  • 出勤前になると体調が悪化する

このような症状がある場合は、「仕事を続ける」ことで回復どころか、症状を慢性化させてしまう可能性も否定できません。

治療においては、薬やカウンセリングだけでなく、ストレス源から距離を取ること も非常に重要な要素になります。

「迷惑をかけたくない」が判断を曇らせることもある

うつ病の方が仕事を続けようとする理由の多くに、

ここで休んだら周りに迷惑がかかる

人手不足だし、自分が抜けたら大変になる

という思いがあります。しかし、その責任感そのものが、すでに症状の一部になってしまっていることもあります。現実には、

  • あなたの代わりは会社が手配する
  • 会社は組織として回るようにできている
  • あなたの回復より優先される仕事は存在しない

という側面もあります。

迷惑をかけたくない気持ちは尊いものですが、そのためにあなたの人生が削られてしまっては本末転倒です。

医師の判断を無視して働くことのリスク

医師から「休養が必要」と言われているにもかかわらず、「それでも会社に行かなければ」と働き続けてしまう方もいます。

しかし医師の判断は単なる意見ではなく、あなたの状態を医学的に見たうえでの警告でもあります。その判断を無視して働き続けた結果、

  • 症状が長期化する
  • 回復までに数年かかる
  • 再発しやすくなる

というケースも少なくありません。もし医師から「今は休むべき」と言われているのであれば、それは十分に重く受け取るべきサインだと考えてください。

仕事を続ける選択ができるのは「条件付き」である

ここまでの話をまとめると、うつ病で仕事を続けるという選択は、

  • 症状が軽度で安定している
  • 職場環境に強いストレスがない
  • 業務内容や量の調整ができる
  • 医師が許可している

こうした条件が揃っている場合に限って、比較的現実的な選択と言えるものです。

それ以外の場合には、無理に続けようとするほど、結果的に自分の首を絞めてしまう可能性が高くなります。

大切なのは、「続けたい」という気持ちだけでなく、「続けられる状態かどうか」を冷静に見る視点を持つことです。

④ うつ病で休職する場合の具体的な流れ

うつ病になったときの選択肢の中で、「完全に辞めるのはまだ不安だが、このまま働き続けるのも難しい」と感じている方にとって、休職は重要な中間の選択肢になります。しかし実際には、「どうやって休職するのか」「会社に何を伝えればいいのか」が分からず、不安で一歩踏み出せない方も少なくありません。

ここでは、うつ病で休職する場合の現実的な流れを、できるだけ分かりやすく整理いたします。

関連記事:退職届・退職願の違いと書き方|提出のタイミングと注意点

まずは医師に「休職が必要か」を相談する

休職をする場合、ほとんどの職場では医師の診断書が必要になります。そのため、最初のステップは主治医に現在の状態を正直に伝え、「仕事を休む必要があるかどうか」を相談することです。

このとき重要なのは、「まだ我慢できそう」「これくらいで休むのは申し訳ない」などと状態を軽く伝えないことです。

医師は、あなたの話と症状をもとに、休職が必要かどうか、どれくらいの期間が妥当かを医学的に判断してくれます。

ここで無理をしてしまうと、後になって「もっと早く休めばよかった」と後悔する方も少なくありません。

会社への伝え方は「簡潔」で問題ない

休職を伝える際、すべてを詳しく説明する必要はありません。特に精神的に不調な場合、無理に細かく話そうとするほど負担が増えてしまいます。会社には、

  • 医師から休養が必要と診断されたこと
  • しばらく仕事を続けるのが難しいこと
  • 休職の相談をしたいこと

この3点を簡潔に伝えるだけでも十分です。

病名を具体的にどこまで伝えるかについては、無理にすべて話す必要はありません。診断書に記載された内容をもとに、最低限の情報を共有する形でも問題ない場合が多いです。

休職手続きの基本的な流れ

一般的な流れとしては、

  • 医師に診断書を書いてもらう
  • 会社に休職の意思を伝える
  • 診断書を提出する
  • 人事・総務などと手続き内容を確認する
  • 休職に入る

このような形になります。会社によっては、上司経由で手続きが進むケースもあれば、人事部署と直接やり取りするケースもあります。

もし「上司と話すのがつらい」と感じる場合は、人事に直接相談することも選択肢のひとつです。

休職中の収入について

休職するうえで大きな不安になるのが、「収入はどうなるのか」という点です。

会社によっては、休職中も一部給与が支払われる場合もありますが、多くのケースでは給与が出なくなります。

ただし、健康保険に加入している場合、条件を満たせば傷病手当金 という制度を利用できる可能性があります。

これは、病気やけがで働けなくなった場合に、一定期間、生活を支えるための給付が行われる制度です。休職を検討する場合は、

  • 会社の制度
  • 健康保険の制度

この2つを確認することで、金銭的な不安をある程度減らすことができます。

休職中の過ごし方で大切なポイント

休職期間は「何もしない時間」ではなく、回復のための時間 です。そのため、

  • しっかり休養を取る
  • 医師の治療を継続する
  • 生活リズムを少しずつ整える
  • 自分を責めすぎない

こうした意識を持つことが、回復への近道になります。

「早く戻らなければ」と焦ってしまうと、十分な回復ができないまま復職してしまい、再びつらい状態に戻ってしまうこともあります。

休職中は、「休むことが仕事」だと考えるくらいで構いません。

休職後の復職・退職という選択について

休職したあと、復職するか、それとも退職するかという選択に直面する方もいます。この判断は、

  • 回復の程度
  • 職場環境の問題
  • 自分の気持ちの変化

などによって変わるため、休職中に無理に決める必要はありません。

大切なのは、回復を最優先にしながら、その後の選択を考えていくこと です。

⑤ うつ病で退職する場合の考え方

うつ病と仕事の問題に向き合う中で、「もうこれ以上、この環境に戻るのは難しいかもしれない」と感じ始める方も少なくありません。

休職という選択を取ってもなお、将来をどうするか考えたときに、退職という選択肢が現実味を帯びてくることは決して珍しくないのです。

ここでは、うつ病で退職を考えるときに大切になる視点と、後悔を減らすための考え方を整理します。

関連記事:退職を言い出せない理由|心理学と環境要因から紐解く“言えない構造”と抜け出し方

退職は「逃げ」ではなく環境変更という選択でもある

うつ病で退職を考えるとき、多くの方がまずぶつかるのが「これは逃げなのではないか」という罪悪感です。

しかし、冷静に考えてみると、職場の環境から距離を置くことは、「人生から逃げること」とはまったく別の行動です。むしろ、

  • 自分の体調を守る
  • これ以上悪化させない
  • 回復する時間を確保する

こうした目的があるのであれば、それは逃避ではなく、環境を変えるための合理的な判断 とも言えます。

特に、職場がうつ症状の大きな原因になっている場合は、その場所から離れること自体が治療の一部になることもあります。

退職を選ぶ人が増えている現実

以前は、「どんなにつらくても会社は簡単に辞めるものではない」という空気が強くありましたが、現在は価値観も徐々に変わってきています。特に精神的な不調に関しては、

  • 無理して続けて悪化する方が問題
  • 環境を変える方が長期的には良い
  • 会社よりも自分の健康が大切

という認識が少しずつ広がってきています。

医療機関側も、無理に現職復帰を勧めるのではなく、「環境調整」や「職場変更」を選択肢として提案するケースが増えています。

つまり、うつ病で退職するという決断は、以前ほど極端な選択ではなくなってきているのです。

退職を判断する際に見ておきたい視点

退職という選択を考えるときは、感情だけでなく、少しだけ現実的な視点も持つことが大切です。例えば、

  • その職場に戻ることを想像したとき、体調はどう反応するか
  • 仕事内容や人間関係は改善される見込みがあるか
  • そこ以外の働き方がまったく想像できない状態か
  • 退職後の生活を最低限支えられる見通しがあるか

こうした点を、自分を責めるためではなく、冷静に「現状整理」するために考えてみることが重要です。

結論をすぐに出そうとする必要はありません。ただ、「この職場でなければならない理由があるのかどうか」を問い直すことは、自分の将来にとって大きな意味を持ちます。

退職後への不安は「誰にでもある」

うつ病で退職を考える方の多くは、「辞めた後の生活が不安で決断できない」と感じています。

  • お金はどうすればいいのか
  • 次の仕事は見つかるのか
  • もう社会に戻れないのではないか

こうした不安が出てくるのは、ごく自然なことです。

ただし、不安は「今すぐ全部を解決しなければならない問題」ではありません。まずは、

  • 回復を最優先する
  • 少し元気になってから次を考える
  • 支援制度や相談先を調べる

このように、段階的に進めていくことで、不安を少しずつ現実に変えていくことができます。

退職という選択が「悪い決断」になるとは限らない

うつ病で退職したことを「人生の失敗」と感じてしまう方もいますが、実際には、そこから新しい働き方を見つけている人も多く存在します。

  • 無理のない職場に転職した
  • 少しずつ体調を整えながら働き始めた
  • 働き方そのものを見直した

こうした人たちは、一度環境をリセットしたことで、自分に合った道を見つけられたとも言えます。

今の職場だけが、あなたの人生のすべてではありません。退職は「終わり」ではなく、「別の選択肢に進む入り口」になることもあるのです。

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⑥ 上司・会社への伝え方とトラブル回避

うつ病と向き合いながら仕事のことを考えると、「どうやって会社に伝えればよいのか」という点が大きな壁になる方も少なくありません。

伝え方を間違えたら理解してもらえないのではないか、責められるのではないか、そんな不安が先に立ってしまうのはごく自然なことです。

ここでは、うつ病に関する相談や、休職・退職を伝える際の現実的な伝え方 と、できるだけトラブルを避けるための考え方について整理します。

関連記事:会社を電話で辞めても大丈夫?退職の伝え方と後悔しない判断基準

どこまで話すかは「話せる範囲」でよい

まず大前提として、会社に対して自分の状態をすべて打ち明ける義務はありません。

うつ病であることを詳しく説明した方が理解を得られる場合もありますが、一方で、あまり情報を出しすぎると、自分にとって精神的な負担が大きくなることもあります。そのため、

  • 病名まで伝える
  • 体調不良という表現に留める
  • 診断書に任せて説明は最小限にする

など、自分が負担に感じない範囲での共有で問題ありません。

大切なのは、「ちゃんと伝えなければいけない」という義務感よりも、「自分を追い詰めないこと」です。

伝える手段も無理のない方法でよい

会社への連絡というと、「電話をしなければ」「対面で話さなければ」と思い込んでしまう方もいますが、必ずしもその必要はありません。体調や精神状態によっては、

  • メール
  • チャットツール
  • 書面
  • 人事宛の文書

などを使って伝える方が負担が少ない場合もあります。

無理に声を出そうとして体調を崩してしまうくらいなら、文章での連絡に切り替えることは十分に現実的な選択肢です。

重要なのは形式ではなく、あなたの状態に合った手段を選ぶこと です。

トラブルになりやすいパターンと避け方

うつ病に関連する休職・退職で揉めてしまうケースには、いくつか共通点があります。たとえば、

  • 無理して曖昧な返事を繰り返してしまう
  • 自分の状態よりも会社の都合を優先してしまう
  • 断れずに流されてしまう

こうした対応を続けていると、話がズルズルと長引いてしまい、精神的な負担が増してしまいます。

回避するためには、「今の状態では働けない」「医師から休養が必要だと言われている」という事実ベースの言葉を淡々と伝えることが有効です。

感情的にならないことが難しい場合は、文章にして整理したうえで送るほうが、気持ちを守りやすくなります。

どうしても会社と直接話せない場合

どうしても連絡すること自体がつらい、相手の声を聞くのが怖い、そういった状態になることも、うつ病では決して珍しくありません。その場合は、

  • 信頼できる家族や知人に間に入ってもらう
  • 第三者の相談窓口に相談する
  • 連絡の代行を検討する

といった方法も選択肢として考えることができます。

「自分でやらなければならない」という考えに縛られすぎないことも、自分を守るひとつの方法です。

大切なのは「話し方」よりも「自分の安全」

会社にどう伝えるかを考え始めると、なぜか「言い方が悪かったら怒られる」「空気を悪くしてしまう」といったことばかりが気になってしまうかもしれません。

ですが、最も優先すべきなのは会社の空気ではなく、自分の安全と回復 です。

うつ病という状態においては、多少不器用な伝え方になったとしても、自分を守る行動のほうがはるかに価値があります。

完璧に伝えることよりも、「これ以上悪化させない選択」を取ることのほうが、何倍も大切です。

⑦ 退職・休職後の生活と回復の考え方

うつ病で仕事から離れると、多くの方が次に不安に感じるのが「これからどうなるのか」という点です。
収入のこと、再就職のこと、社会から取り残されるのではないかという恐れ。こうした気持ちが頭を占めてしまい、休職や退職の決断をためらう方も少なくありません。

この章では、仕事を離れたあとに向き合うことになる現実と、その考え方について整理していきます。

関連記事:無断欠勤中でも退職できる?出社できない人のための完全ガイド

「何もしない時間」は回復の一部

仕事を離れると、最初のうちは罪悪感に襲われる方が多くいます。

「こんなに休んでいていいのだろうか」「周りは働いているのに自分だけ止まっている」そう感じるのは自然な反応です。

しかし、うつ病の回復においては何もしない時間こそが重要な治療の一部 になります。

焦って次を探そうとしたり、無理に社会復帰を急いだりすると、症状の改善どころか悪化してしまうことも珍しくありません。まずは、

  • 体をしっかり休める
  • 睡眠と食事を整える
  • 治療を継続する

といった基本的なことを大切にしてほしいと思います。

何か生産的なことをしていなくても、「回復している時間」は決して無意味ではありません。

金銭面の不安への向き合い方

仕事を離れると、どうしてもお金の不安がついて回ります。

この不安は自然なものですが、頭の中で膨らみすぎると、気持ちの回復を妨げてしまいます。大切なのは、

  • 自分ひとりで抱え込まないこと
  • 一度にすべてを解決しようとしないこと
  • 相談できる窓口や制度を段階的に調べること

です。場合によっては、公的な支援や相談窓口を頼ることで、心の負担をかなり軽くすることができるケースもあります。

まずは「不安をゼロにする」ではなく、不安を現実的なサイズに戻す ところから始めてみてください。

「もう働けないのでは」という不安について

うつ病で仕事を離れたあと、「もうこの先働けないのではないか」と強い不安に襲われる方も少なくありません。

しかし、この不安は多くの場合、症状の一部として出ている考え でもあります。実際には、うつ病から回復し、

  • 環境を変えて働いている人
  • 働き方を調整しながら社会に戻っている人
  • 一度立ち止まったことで自分に合った道を見つけた人

は数多く存在します。今はまだ「その未来」が想像できなくても構いません。まずは回復を最優先にしながら、少しずつ視野が広がるのを待つことが大切です。

再就職や働き方は「元に戻す」必要はない

仕事に戻ることを考えたとき、多くの方が「以前のように働けるかどうか」に目が向きがちです。しかし、必ずしも「元の働き方」に戻る必要はありません。

  • 勤務時間を短くする
  • 働く業界を変える
  • 職種を見直す
  • 働く頻度を調整する

こうした選択肢も、回復後には十分に現実的になり得ます。

うつ病をきっかけに、自分の働き方を見直した結果、以前よりも自分に合った人生を送れるようになった方も少なくありません。

まとめ|うつ病と仕事は「正解」よりも「自分を守る選択」を

うつ病になったとき、仕事を続けるか、休職するか、退職するか。どの選択にもそれぞれの重みがあり、簡単に決められるものではありません。

ですが、ここで忘れてはいけないのは、

どの選択をするかよりも、自分の心と体を壊さない選択ができるかどうかのほうが大切だということです。

仕事は人生の一部ですが、人生そのものではありません。いまはまだ実感できなくても、今のあなたの苦しさは永遠に続くものではありません。

焦らなくて大丈夫です。比べなくて大丈夫です。まずは、「これ以上悪くしないこと」それだけをゴールにしても構いません。

あなたの選択は、逃げではありません。生き続けるための行動です。

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